コラム

地域連携を“仕組み化”する医療介護営業の実践

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紹介待ちでは、地域の波に飲まれる

「以前は自然に紹介が来ていたのに、最近はぱったり減った」
「地域連携室はあるけど、動きが属人的になっている」

こうした声は、医療機関・介護施設の現場で日々聞かれるものです。
地域包括ケアが進む中、病院間・施設間の競争は激化し、“紹介待ち”だけでは稼働率や在宅支援の継続が困難になってきています

今、医療介護の現場に求められているのは、「連携を仕組みとして捉え、戦略的に動く力」です。
本コラムでは、地域連携を営業活動として“見える化・仕組み化”していく実践ポイントを紹介します。

“つながり”ではなく“仕組み”で動かす地域連携

従来の地域連携は、個人の人間関係や信頼に依存する傾向が強くありました。
しかし、これでは担当者が異動すれば関係が切れ、情報の属人化も避けられません。

そこで重要になるのが、**組織としての営業設計=「地域連携の業務設計」**です。

ポイントは以下の3つです:

  • 訪問・接触の“ルーティン化”:月1回のルート営業的な訪問先をリスト化し、履歴を管理

  • “渡しっぱなし”にしない情報共有:退院調整やケアマネ連携は、送った後のフォローが鍵

  • 紹介元ごとのKPI設定:紹介件数・連携継続率など、簡単な指標を共有

属人的な「顔の見える関係」から一歩進んで、“顔の見える仕組み”をつくることが必要です。

営業は「誰かの仕事」ではなく「全体で支えるもの」

地域連携・営業活動は、地域連携室や事務担当者だけに任せておくものではありません。
むしろ、現場の看護師、ケアマネ、リハビリ職、相談員などが**“日常の一言”で信頼関係を築いている場面こそ、最も強力な営業資源**です。

そのためには、以下のような工夫が有効です:

  • スタッフ向けミニ勉強会:「営業とは何か」「なぜ連携が必要か」を共有

  • 他機関訪問への同行機会を設ける:現場職員も“外の視点”を知ることで意識が変わる

  • 成功事例の横展開:「〇〇の一言でスムーズに入所が決まった」といったナレッジ共有

営業=“特別なこと”という誤解を解き、全体で支える地域連携文化を醸成することが不可欠です。

「営業される側」の視点を持てる組織は強い

紹介元(たとえば急性期病院、地域包括支援センター、ケアマネジャーなど)は、数多くの選択肢の中から入院先・入所先を検討しています。
その中で選ばれるためには、「紹介される側の論理」ではなく、「営業される側の視点」に立つことが重要です。

たとえば:

  • 紹介後の情報提供(経過報告・受け入れの可否のスピード)が迅速か

  • 職員の対応に一貫性・安心感があるか

  • 紹介元が困ったときに“思い出される存在”か

これらを自問しながら、連携先のニーズを起点とした情報発信や関係づくりができているかを定期的に見直す必要があります。

地域連携は“営業力”ではなく“組織力”で勝負する時代へ

医療・介護の地域連携は、待っているだけでは成立しない時代になりました。
特に人口減・高齢化が進む中で、紹介の奪い合いではなく、“信頼され、相談される存在”になることが持続可能な営業戦略となります。

そのためには、個人の努力や関係性に頼らず、仕組み・KPI・全体巻き込み型の営業設計を行うことが鍵です。

当社では、医療・介護事業者向けに、地域連携の営業支援や営業活動の見える化ツール導入、現場職員向けミニ研修も提供しています。
営業を“仕組み”として動かしたい方は、ぜひご相談ください。

2025.6.30