──院長が数字と向き合う3つの指標
多くの歯科医院では、毎月の収入確認をレセコン(レセプトコンピュータ)に頼っています。もちろん、診療報酬の請求データは経営の基本ですが、そこに示されるのは“過去の売上結果”に過ぎません。
経営の持続性を高めるには、将来を予測できる数字と医院の強みや課題を可視化する数字が欠かせません。ここで重要なのは「院長自身が把握し、判断できる指標」を持つことです。
本稿では、歯科医院の経営改善に直結する「レセコンの外にある3つの数字」をご紹介します。
まず注目すべきは患者数の内訳です。
新患:どれだけ新しい患者が医院を選んでくれたか
再診:治療中の患者が継続して来院しているか
定期来院:治療終了後も予防で戻ってきているか
特に「定期来院率」は、医院の信頼度と長期的な安定収益を示す重要指標です。新患獲得ばかりに注力すると広告コストが膨らみ、収益は不安定になりがちです。既存患者が定着しているかを確認することが、健全な経営の第一歩です。
次に見るべきは診療単価です。
単価を「保険診療」と「自費診療」に分けて把握すると、医院の収益構造が一気にクリアになります。
保険診療:安定して患者を集める基盤
自費診療:医院の専門性や付加価値を反映する部分
例えば、ホワイトニングやインプラントなど自費メニューがどれくらい選ばれているかを確認することで、医院が「価格ではなく価値」で選ばれているかを測ることができます。
“選ばれる理由”が数値で見えるかどうかが、今後の成長戦略を考えるヒントになります。
最後の指標は人件費率です。
スタッフは歯科医院経営の最大の資産であり、同時に大きなコスト要素でもあります。売上に対する人件費の割合(人件費率)を継続的にチェックすることで、次のような判断が可能になります。
採用・教育に投資できる余地があるか
業務効率の改善が必要か
将来的に報酬制度を見直す余地があるか
適正な人件費率を維持できれば、スタッフの定着率と医院の持続性が両立します。反対に、人件費率を見ずに採用を続けると、利益が出ていないのに現場は疲弊する、という悪循環に陥りかねません。
ここで紹介した3つの数字は、レセコンに表示される売上データを超えて、医院の未来を描くための道具です。
患者数の構造は「地域での信頼の厚み」
単価の構造は「医院の付加価値の表れ」
人件費率は「組織の持続性」
これらを院長自身が把握し、スタッフと共有することで、医院の経営は“数字に基づく会話”へと変わります。感覚や思い込みではなく、データを基盤とした議論が可能になるのです。
経営はレセコンの外にあります。日々の請求額を確認するだけではなく、未来を見据えた指標に目を向けることで、医院の方向性は大きく変わります。
当社では、歯科医院向けに
患者数や単価の構造を“見える化”する管理会計の導入支援
人件費率や収益性をふまえた処遇設計のアドバイス
スタッフと共有できる経営ダッシュボードの構築
を行っています。机上の理論ではなく、実際の現場に合った仕組みを一緒に整えることが私たちの強みです。
「数字に基づく経営」を自院に根づかせたいとお考えの院長先生、ぜひ一度ご相談ください。