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“属人化”を脱して仕組み化へ

現場改善を止めない業務設計のコツ

ベテランが辞めると回らなくなる現場

医療・介護の現場でよく聞く悩みのひとつが、「特定の人にしかできない仕事が多すぎる」というものです。
レセプト点検、勤怠管理、加算の算定、報告書の作成など──ベテラン職員が長年の経験で築いたノウハウに頼る形で業務が回っているケースは少なくありません。

しかし、その職員が休職・退職すると、業務が滞り、他の職員が残業で穴を埋める。
結果として、疲弊感が広がり、さらに人が辞める──そんな悪循環が生まれてしまいます。

この「属人化」を放置すると、組織の改善スピードは確実に鈍化します。
現場が持続的に成長するためには、“個人の技”を“仕組み”に変える業務設計が欠かせません。

属人化が起こる3つの理由

属人化は、偶然ではなく「仕組みの欠如」から生まれます。代表的な原因は次の3つです。

  1. 手順が明文化されていない
     「この仕事は○○さんがやっている」という状況では、業務の流れや判断基準が個人の頭の中にしかありません。マニュアル化されていないと、再現性が担保できません。

  2. 権限と責任の線引きが曖昧
     決裁・承認・確認といったプロセスが不明確だと、「誰が判断すべきか」が個人依存になります。属人化を防ぐには、業務と責任の分担を明文化する必要があります。

  3. 改善のサイクルが止まっている
     現場が忙しすぎて「やり方を見直す」時間が取れないと、非効率な手順が温存されます。結果的に、“経験者しかできない仕事”が固定化してしまいます。

属人化を脱する3つのアプローチ

仕組み化の目的は、「誰がやっても一定の品質で成果を出せる状態をつくること」です。
次の3つのアプローチが、持続的な業務改善の鍵になります。

  1. 業務の棚卸と可視化
     まずは全業務を洗い出し、「誰が・何を・どの手順で」行っているのかを整理します。Excelやホワイトボードでも構いません。業務フローを“見える化”するだけで、重複やムダが明らかになります。

  2. 標準化とデジタル化をセットで進める
     業務自動化ツールやデジタル仕組みを活用し、再現性のある手順を残すことが重要です。
     たとえば、Power Automate やマクロ機能などを使って、定型作業を自動化するだけでも大きな効果が得られます。
     特に、医療・介護現場では「毎月繰り返す定型作業」が多く、自動化の効果が大きい領域です。

  3. 改善を“誰かの仕事”にしない
     改善活動は「特定の担当者」ではなく、チーム全体で取り組むべきテーマです。定期的な業務レビュー会議を設け、「やりづらい」「もっと簡単にできる」を口に出せる文化を育てましょう。

仕組みは“人を楽にする道具”

属人化の解消は、単に「効率化」を目的とするものではありません。
むしろ、人が本来やるべき仕事に集中できる環境をつくることが、仕組み化の本質です。

当社では、医療・介護事業者向けに

  • 業務棚卸とプロセス分析の支援

  • Power Platformを活用した業務自動化(RPA・フロー設計)

  • 改善サイクルを根づかせるマネジメント体制づくり
    を行っています。

現場が変わるのは「人が変わったとき」ではなく、「仕組みが変わったとき」です。
属人化を脱し、仕組みで動く組織へ──その第一歩を一緒に描いてみませんか。

2025.11.17