地域連携DX × 業務設計
地域連携室や関連部門から、近年よく聞かれる声があります。
紹介元との関係づくりに時間をかけているのに、紹介が増えない
特定の職員に業務が集中し、引き継ぎがうまくいかない
日々の調整業務に追われ、改善に手が回らない
多くの医療機関で、地域連携は
「重要だと分かっているが、手応えが得られない」
領域になりつつあります。
しかし、この状況は決して
現場の努力不足や個人の能力の問題ではありません。
地域連携がうまく回らない背景には、
連携の進め方そのものが、今の医療環境に合わなくなっている
という構造的な問題があります。
従来の地域連携は、
紹介が来るのを待つ
問い合わせに個別対応する
人と人との関係性で調整を進める
といった“受け身型”が中心でした。
しかし現在は、
病床機能の再編と稼働率管理の高度化
医療提供体制の複雑化
連携先(診療所・施設・ケアマネ等)の業務負荷増大
により、
「待っていれば自然に回る連携」は成立しにくくなっています。
結果として、
現場は以前より努力しているにもかかわらず、
成果が安定しないという矛盾が生じています。
この点については、
▶ 地域連携DX──待ちから攻めへ
でも詳しく整理しています。
地域連携がうまくいかない医療機関に共通しているのは、
情報が人に紐づいている
判断が経験と勘に依存している
行動と成果の関係が見えない
という状態です。
誰が、どの連携先と、どのようなやり取りをしているのか。
それが個人の記憶やメモに依存している限り、
担当者が変わった瞬間に連携は不安定になります。
地域連携を安定させるには、
属人化を分解し、業務として回る形に再設計する視点が欠かせません。
この考え方の背景については、
▶ 属人化を脱却する「業務設計」の本質
で詳しく解説しています。
地域連携DXという言葉から、
システムやCRMの導入をイメージされることもあります。
しかし、本質はツールそのものではありません。
地域連携DXとは、
誰が
どの連携先と
どのような関係性を築き
どんな成果につながっているのか
を構造として整理し、再現可能な形にすることです。
重要なのは、
「担当者が覚える情報を増やすこと」ではなく、
関係性や対応履歴を、引き継げる業務データとして残すことです。
連携先ごとの接点・活動履歴を一覧で把握
担当者が変わっても、地域連携が止まらない設計
※ 名称等はダミーです
このように整理されることで、
地域連携は「人の記憶」ではなく組織の業務として回り始めます。
情報が整理されると、
地域連携の質は大きく変わります。
関係性や履歴が共有され、
特定の職員に依存しない連携が可能になります。
「よく動いている」ではなく、
**「成果につながっている行動」**が見えるようになります。
感想や経験談ではなく、
「次にどこへ、どう動くか」を話せる場に変わります。
活動量・担当別の偏り・地域分布を可視化
次の一手を判断できる状態
※ 名称・数値等はダミーです
いきなり高度なDXを目指す必要はありません。
連携先一覧を整理する
対応履歴を簡単に残す
業務の流れを書き出してみる
こうした小さな整理が、
攻めの地域連携への第一歩になります。
大切なのは、
「何を管理したいのか」
「何を改善したいのか」
という目的を共有することです。
地域連携は、
これからの医療機関にとって経営と現場をつなぐ重要な戦略領域です。
病床稼働を安定させたい
地域との関係を持続可能にしたい
現場の負担を減らしながら成果を出したい
そう考えるなら、地域連携を人任せにせず、
仕組みとして設計し直す視点が欠かせません。
地域連携DXは、そのための手段です。
「頑張っているのに回らない連携」から、
「狙って成果を出す連携」へ。
まずは、自院の地域連携がどこで止まっているのかを整理するところから
始めてみてはいかがでしょうか。