トピックス

部門別採算が“形だけ”で終わる病院の共通点

──管理会計が経営改善につながらない理由

部門別採算を「入れている」のに、経営が変わらない

病院経営の現場で、
「部門別採算は一応やっている」
「数字は出ているが、経営判断には使われていない」
という声をよく耳にします。

診療科別、部門別に収益や費用を集計し、月次資料も作成している。
それでも、

  • 赤字部門が減らない

  • 現場の行動が変わらない

  • 会議で数字の話が深まらない

──こうした状況に陥っている病院は少なくありません。

部門別採算が“形だけ”で終わるのは、
数字の出し方ではなく、使い方に問題があるケースがほとんどです。

共通点①:収益中心で「生産性」が見えていない

多くの病院で見られるのが、
「部門別=収益ランキング」になってしまっている状態です。

確かに収益は重要ですが、
収益が高い=経営に貢献しているとは限りません。

  • 人件費や委託費を多く使っていないか

  • 1人あたり・1時間あたりで見たときの効率はどうか

  • 同規模部門と比べて負荷は適正か

こうした視点がなければ、
部門別採算は「売上表の言い換え」で終わってしまいます。

本来、管理会計が果たすべき役割は、
収益ではなく生産性を見ることにあります。

※生産性視点で部門別採算を捉える考え方については、
▶ 収益ではなく生産性を見よ──部門別採算管理のすすめ
で詳しく解説しています。

共通点②:数字が「現場の言葉」に翻訳されていない

部門別採算が経営会議だけで完結している病院も要注意です。

  • 医師や看護師、コメディカルは数字を見ていない

  • 見ていても「経営の話」として距離を感じている

  • 自分たちの行動と数字の関係が分からない

この状態では、
どれだけ正確な数字を作っても改善行動は生まれません。

重要なのは、

  • この数字は「何を変えるためのものか」

  • 現場で「どこを工夫すれば改善するのか」

行動レベルまで落とし込むことです。

多くの病院では、数字があっても最終判断は
「これまでこうしてきたから」
「感覚的にこのくらいだろう」
といった“勘と経験”に戻ってしまいます。

管理会計を本当に機能させるためには、
この意思決定スタイルそのものを少しずつ変えていく必要があります。

参考コラム
▶ “勘と経験”からの脱却

部門別採算は、現場を評価するための資料ではなく、
現場と対話するための共通言語であるべきなのです。

共通点③:「管理」のための会計になっている

管理会計という言葉が、
「チェックされる」「責められる」という印象を持たれている病院では、
部門別採算はほぼ確実に形骸化します。

  • 赤字=叱責

  • 数字が悪い=努力不足

  • 改善=コスト削減一択

こうした空気の中では、
現場は防御的になり、数字から目を背けるようになります。

管理会計は本来、

  • 現状を正しく理解する

  • 課題を構造的に捉える

  • 支援や投資の優先順位を決める

ための支援ツールです。

「管理のための会計」から
「改善を支える会計」へ視点を切り替えない限り、
部門別採算は定着しません。

共通点④:部門別採算が“単発作業”になっている

年度途中で一度作っただけ、人が変わると更新が止まる──
こうした状態も、形だけで終わる典型例です。

部門別採算は、
作った瞬間がゴールではなく、スタートです。

  • 月次で数字を追う

  • 前月との差を確認する

  • 仮説と打ち手を話し合う

このサイクルが回って初めて、管理会計は「経営の道具」になります。

Excelであっても、Power BIなどのツールであっても、
大切なのは継続的に使われる設計です。

部門別採算を“経営改善”に変える3つの視点

部門別採算がうまく機能している病院では、

  • 数字が現場の会話に出てくる

  • 改善の議論が具体的になる

  • 感覚論ではなく構造で話せる

という変化が起きています。

それは、
収益管理ではなく、生産性を軸にした管理会計にシフトできているからです。

当社では、

  • 部門別採算表の再設計(生産性視点)

  • 現場に伝わるKPI設計

  • 数字を使った改善会議の設計支援

を通じて、
管理会計が“形だけ”で終わらない仕組みづくりを支援しています。

部門別採算は、作ることよりも「使われること」がすべてです。

「部門別採算を入れているのに、経営が変わらない」
そう感じている場合こそ、数字の見方と使い方を見直すタイミングかもしれません。

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2026.1.19