── 正しい問いを立て、なぜ今それを解くのかを共に考える役割
コンサルタントに対してよくある誤解の一つは、
「課題を与えれば、適切な解決策(答え)を提示してくれる専門家」
というイメージです。
たしかに、ある程度明確な問題に対しては、事例や知見に基づいた提案が可能です。
しかし、現実の経営や組織課題の多くは、そもそも**「正しく問いが立てられていない」**ことが根本原因です。
コンサルタントの本質的な仕事は、クライアントが抱えている“問いの構造”を解きほぐし、改めて問い直すことにあります。
たとえば、ある病院から「人が足りないから採用を支援してほしい」という相談があったとします。
ヒアリングを進めると、実はその病院では業務プロセスの見直しが長年行われておらず、
スタッフが非効率な業務に追われていたのが根本的な課題だった──ということは珍しくありません。
このように、依頼内容(=表面的な問い)にそのまま答えるだけでは、
「問題のすり替え」に加担することにもなりかねないのです。
だからこそ、私たちの役割は、次のような問いかけから始まります。
「なぜ、その課題がいま最優先なのでしょうか?」
「他にも関連している背景はありませんか?」
「もしその問題を放置したら、何がどう悪化しますか?」
こうした対話を通じて、経営層自身が**“問題の所在”を言語化しなおすプロセスに伴走すること**が、最も価値ある貢献だと考えます。
問いを再定義する目的は、“賢いレポート”をつくるためではありません。
組織が本気で動き出すための出発点を共有することです。
なぜその課題を、なぜ“今”解くべきなのか。
その問いに、経営層や幹部が腹落ちしていなければ、現場がどんなに努力しても、改善の流れは長続きしません。
単なるKPIの設定ではなく、「この数字が動けば、未来が変わる」と確信できるか。
課題が痛みを伴うものであっても、「これは組織にとって不可欠だ」と腑に落ちているか。
その“問いへの共感と合意”があってこそ、コンサルティングは一過性ではない、本質的な支援へと昇華します。
コンサルタントは、万能な答えを持っているわけではありません。
むしろ、どこに問いを立てるか、誰とその問いを共有するかにこそ、その真価があります。
課題が複雑化し、制度や人材、組織文化が交錯する医療・介護の現場においては、
“正しい問い”を定めること自体が、解決への第一歩です。
当社は、机上の提案ではなく、問いの設計から現場の実行までを見据えた支援を行っています。
「何から始めるべきか」が見えないときこそ、まずは問いを立てるところから、共に始めてみませんか?