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医師・看護師・ケアスタッフ、職種間の壁を越えるコミュニケーション術

医療や介護の現場では、患者・利用者のために多職種が一丸となってケアを提供することが求められます。しかし実際には、医師、看護師、ケアスタッフといった職種ごとの役割や専門性が「壁」となり、情報が十分に共有されず、チームワークに支障をきたすことが少なくありません。現場の声を聞くと「忙しさで十分に話せない」「自分の意見を伝えにくい」といった悩みがあふれています。

職種間の壁が生まれる背景

医療・介護の職場は、多様な専門職が連携して初めて成り立つ場です。しかし、その多様性が時に溝を生みます。医師は診断や治療に集中し、看護師は患者の生活全般を支え、介護スタッフは日常生活援助を担います。それぞれが重要な役割を担う一方で、立場や権限の違い、専門性の優先順位の違いから「伝えにくさ」や「意見が届かない感覚」が発生しがちです。

加えて、医療現場特有の「時間的制約」も大きな壁となります。急患対応や人員不足によって十分なコミュニケーション時間が取れず、結果として「わかったつもり」のまま業務が進んでしまう。これがエラーや患者不満につながるケースも見られます。

解決の第一歩は「共通言語化」

壁を越えるために重要なのは、立場の違いを認めつつ「共通言語」で話すことです。医師の医学用語、看護師の看護計画、介護スタッフの生活観察――これらを噛み砕いて共有できる仕組みを作ることが大切です。具体的には、以下の工夫が考えられます。

  • カンファレンスでのルールづくり
     専門用語は説明を加え、誰もが理解できる形に言い換える。発言順や時間を区切ることで、発言しやすい雰囲気をつくる。

  • 情報共有ツールの活用
     電子カルテや共有シートに「医療」「看護」「介護」の視点で同じ患者情報を記録できる枠を用意する。これにより「誰が何をどう見ているか」が明確になり、相互理解が進む。

  • ショートミーティングの導入
     1日数分でも職種を越えて顔を合わせる機会を設ける。長時間の会議ではなく、気軽に声をかけ合える仕組みを日常化することが有効です。

心理的安全性の確保

もう一つ大切なのが「心理的安全性」です。発言しても否定されない、無視されない環境がなければ、いくら仕組みを整えても本音は出てきません。特に上下関係が強い職場では、意見を言い出せないままストレスや離職につながるケースが見られます。管理職やリーダーは、まず「否定から入らない」姿勢を示すことが重要です。小さな気づきや感想に耳を傾けることで、スタッフの安心感は大きく変わります。

リーダーの役割

リーダーは「調整者」として、職種間の橋渡し役を担います。医師と看護師、看護師と介護職の間で生じる認識のずれを拾い上げ、双方の言葉を翻訳するように伝える。この一手間が、現場の不信感を減らし、連携を滑らかにします。また、リーダー自身が「自分の職種の視点」に偏らず、全体最適を見据える姿勢を示すことが、現場のモデルとなります。

問いの設計から実行まで、一緒に歩みます

多職種連携のカギは、相互理解と共通言語化、そして心理的安全性の確保にあります。壁を取り払うことで、患者・利用者にとって質の高いケアが実現でき、スタッフ自身も働きやすさを感じられる職場に変わります。

当社は、机上の提案ではなく、問いの設計から現場の実行までを一貫して支援しています。多職種の対話の場をどう設計し、どう運用すれば成果が出るのか――その実践的なノウハウを、現場とともに磨いてきました。
「どこから取り組むべきか」が見えないときこそ、まずは私たちと問いを立てるところから始めてみませんか。

2025.8.25