──現場が“動き出す”ためのリーダーシップとは
「会議で方針を説明しても、現場がまったく動かない」
「上からの指示を伝える役割なのに、部下の反応が冷たい」
「結局、現場の仕事を自分が全部抱えてしまっている…」
医療・介護の現場でよく耳にする、中間管理職の“孤独な悩み”。
それは単に「伝え方」の問題ではありません。背景には、現場を“巻き込む力”=巻き込み型リーダーシップの欠如があります。
中間管理職とは、現場の事情もわかり、経営の意図も汲み取れる唯一の立場。
だからこそ、「上から言われたからやる」のではなく、「自分たちの現場を良くするためにやる」──そう思わせる働きかけが求められます。
では、どうすれば人は動くのか?
カギは、**「納得感のある目的」と「話し合いの場づくり」**にあります。
たとえば新しい記録様式を導入するとき、単に「変える」と言っても現場は抵抗します。
しかし、
なぜ変えるのか?(背景と課題)
どんなメリットがあるのか?(患者やスタッフへの効果)
自分たちがどう関われるのか?(現場の工夫余地)
こうした情報が整理され、現場との対話の中で**“自分事化”されれば**、スタッフは自ら動き始めます。
つまり、「巻き込む」とは**“やらせる”ことではなく、“一緒に考える構造をつくる”こと**なのです。
巻き込み力を高めるうえで大切なのは、「自分たちで動いて改善できた」という実感を現場に持ってもらうことです。
たとえば:
業務フローの見直しで5分短縮できた → 次の改善提案も出やすくなる
新しいルールを試したら患者満足が上がった → 現場が肯定的になる
会議で出たアイデアが実現された → 話し合いへの参加意欲が高まる
こうした「小さな成功体験」が蓄積されると、“一緒に取り組めば現場は良くなる”という空気が生まれ、チーム全体の協力姿勢が育っていきます。
中間管理職が果たすべき役割は、上司の代弁者でも、現場の調整役でもありません。
“変化の担い手”として、現場に火をつける存在です。
そのためには、以下のような行動が求められます:
意図を翻訳する:「上からの指示」を現場目線で再構成
聴く場を設ける:提案や不安を吸い上げる定例の場づくり
試す機会をつくる:まずは“やってみる”実験文化の創出
成果を共有する:可視化とフィードバックで変化を実感
こうした行動が、「上意下達の伝令役」ではなく、“現場を動かすファシリテーター”としての信頼を築いていきます。
医療・介護の現場は、多職種が集い、多忙で、変化に慎重です。
そこに一体感を生むには、「巻き込む」というリーダーの工夫が欠かせません。
中間管理職の巻き込み力は、単に業務遂行を円滑にするだけでなく、
「現場が動き、現場で改善が起きる組織文化」そのものを育てる力なのです。
当社では、医療・介護業界に特化した中間管理職研修や、対話設計ワークショップ、現場巻き込み支援などを行っております。
まずは現場で“変化の火種”となるリーダーを育ててみませんか?