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地域連携DX──待ちから攻めへ

「紹介を待つ連携」の限界

医療・介護業界では、長年にわたり「紹介を待つ連携」が主流でした。
病院であれば地域医療機関からの紹介患者、介護施設であればケアマネジャーからの紹介や行政の相談経由──いずれも“受け身型”の連携です。

しかし、こうしたモデルはすでに限界を迎えています。
少子高齢化による利用者数の減少、事業者間の競争激化、さらにコロナ禍を経た地域の流動化により、「待っていれば紹介が来る」時代は終わりを告げつつあります。

これからの医療・介護経営に必要なのは、地域との関係を“攻めの姿勢”で設計し直すこと──その中核を担うのが「地域連携DX」です。

地域連携DXとは、単なるデジタル化ではない

地域連携DXとは、単に紙や電話をデジタルに置き換えることではありません。
データを活用し、地域との関係を科学的にマネジメントする仕組みを構築することを意味します。

たとえば、

  • 紹介元・ケアマネ・医療機関など地域接点のデータを一元管理(CRM)

  • 接触履歴・訪問内容・紹介件数などを可視化して、“どこから紹介が生まれているか”を分析

  • エリア別・職種別の動向を把握し、重点訪問先や改善施策を自動抽出

こうした仕組みを持つことで、「どこに行けば成果が出るか」「どの関係が弱くなっているか」を感覚ではなく、データで判断できる連携体制をつくることが可能になります。

DXで変わる「連携の質」

地域連携DXの導入は、単に効率を上げるだけでなく、地域連携の質そのものを変える力を持ちます。

① 情報共有のスピードが上がる

訪問記録や問い合わせ内容をクラウド上で共有することで、「誰が・どこで・何を話したか」がリアルタイムで見えるようになります。
担当者が変わっても、関係が途切れにくくなります。

② チーム連携が可能になる

医療相談員・ケアマネ・リハスタッフ・管理部門などが共通のCRMを使うことで、**多職種による“チーム連携”**が実現。関係づくりが個人依存から組織的活動へと進化します。

③ フィードバックが早くなる

紹介数や稼働率のデータをダッシュボードで可視化すれば、成果を即座に共有できます。これにより、会議での議論が「頑張っている/いない」から「どこを改善するか」に変わります。

DX導入の第一歩は“現場の感覚”の可視化

「DX」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。
しかし、最初の一歩は、これまでの感覚を“見える形”にすることから始まります。
たとえば、ExcelやSharePointで「訪問先」「関係度」「紹介件数」を一覧化し、数値を月次で追うだけでも立派なDXの入り口です。

重要なのは、ツールではなく“目的”。
地域連携DXの目的は、データを集めることではなく、データをもとに行動を変えることです。

地域連携を「戦略資産」に変える

地域連携DXの導入によって、地域との関係は「偶然のつながり」から「再現性のある資産」へと変わります。
それは、単なるデジタル化ではなく、地域連携そのものを経営戦略の中に位置づける転換でもあります。

当社では、医療・介護事業者向けに

  • 地域連携DX・CRM導入支援

  • 地域連携データの設計とKPI構築

  • チーム営業の仕組みづくりと運用研修
    を行っています。

「紹介を待つ連携から、戦略的に動く連携へ」。
地域と共に成長する仕組みを、データと仕組みの両輪でつくっていきませんか。

2025.11.25