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病床稼働率・入居率の壁を突破する

“地域回遊型”営業モデルという新しい視点

稼働率の「頭打ち」は多くの医療・介護施設の悩み

多くの医療機関や介護施設が抱える経営課題のひとつに、病床稼働率や入居率の頭打ちがあります。
「良いサービスを提供しているのに紹介が伸びない」「空床が一定数から減らない」といった声は少なくありません。

在宅復帰支援や地域包括ケアが進むなか、従来型の紹介依存・待ちの営業スタイルでは限界が見えてきています。

従来型営業の限界:紹介に“依存”してしまう構造

これまで多くの施設が行ってきた地域営業は、

  • ケアマネジャーへの訪問

  • 医療機関へのパンフレット配布

  • 行政・地域包括支援センターへの情報提供

といった「情報を届けて、紹介を待つ」スタイルでした。もちろん、こうした活動も重要です。ですが、紹介元の数には限りがあり、また他施設との競合も激化しています。

つまり、紹介を待つだけでは稼働率を押し上げられない時代に入っているのです。

“地域回遊型”営業モデルとは?

こうした状況を打破するための新しいアプローチが、「地域回遊型」営業モデルです。
これは、特定の紹介元への依存を減らし、地域の複数の接点を「回遊」することで、潜在的なニーズを掘り起こし、紹介・利用につなげる戦略です。

特徴①:接点を分散させる

病院・クリニック・ケアマネ・訪問事業所・地域包括支援センターなど、複数のプレイヤーと面で接点を持つ。情報発信や勉強会、共同イベントを活用して、接点の幅を広げます。

特徴②:短期的な紹介より中長期の関係性構築

「今すぐ紹介してもらう」よりも、「困ったときに思い出してもらえる」関係を築くことが目的。継続的な接触や地域活動を通じて、信頼を積み重ねます。

特徴③:営業担当者だけでなく全職員が関与

地域回遊型では、営業担当者だけでなく、看護師・リハビリ・相談員などがそれぞれの立場で接点を持ちます。これにより、紹介ルートが多層的になり、リスク分散にもつながります。

実践のための3つの仕組み

地域回遊型営業を定着させるには、属人的な努力ではなく仕組み化が重要です。

  1. CRMによる情報管理
     訪問先や面談内容をCRM(顧客関係管理システム)で一元管理し、接触履歴や紹介実績を“見える化”する。

  2. KPIの設定とチーム共有
     「接点数」「訪問回数」「紹介率」「空床充足率」などの指標を設定し、営業担当だけでなくチーム全体で進捗を共有する。

  3. 定期的な地域活動の企画
     勉強会や見学会、合同イベントなど、地域の関係者と自然に接点を持てる場を仕組みとして組み込む。

地域を「回遊」することで経営が変わる

病床稼働率や入居率の壁は、営業の量を増やすだけでは突破できません。
重要なのは、接点の持ち方を変え、地域との関係を立体的に築くことです。

当社では、医療・介護事業者向けに

  • CRMを活用した地域営業の仕組み化支援

  • KPI設計と営業チームの運用体制構築

  • 中長期で信頼を育てる「地域回遊型」モデルの導入支援

を行っています。属人的な営業から脱却し、組織的な地域戦略を立てたいとお考えの際は、ぜひご相談ください。
「空床が埋まらない」悩みの裏には、戦略の変革のチャンスが潜んでいます。

2025.10.27