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経営視点で考える地域との“接点”のつくり方

「営業」=連携担当者の役割、では終わらない

医療・介護業界では、地域連携室や営業担当が配置されるケースが増えています。病院では紹介患者の獲得、介護施設では利用者の確保のために、関係機関への訪問や情報共有を担う専門部署が機能しています。

しかし現場からは「担当者に任せきりで、他の職員は関わらない」「経営層は数値だけを見て、活動の実態を把握していない」といった声も聞かれます。これでは、地域との接点が個人に依存し、異動や退職があれば途切れてしまうリスクがあります。

地域連携は、**担当者個人の営業力ではなく、組織全体で築く“仕組み”**として捉える必要があります。

経営視点で捉える「接点」の意味

地域との接点を“経営課題”として捉えると、その意義は大きく変わります。

  1. 安定した紹介・利用者獲得の基盤
     紹介件数の増減は、経営に直結する重要指標です。担当者任せではなく、全職員が「どのように紹介につながっているか」を意識することで、成果が安定します。

  2. 地域でのブランド形成
     地域包括ケアの時代においては、医療・介護機関の信頼度そのものがブランドです。経営層が地域への発信方針を示し、職員が一貫した姿勢で対応することが、長期的な選ばれる理由になります。

  3. 多職種連携の深化
     営業担当だけでなく、医師・看護師・ケアスタッフ・相談員がそれぞれの立場で地域と接点を持つことで、関係性は多層的になり、途切れにくいネットワークへと発展します。

実践のための仕組みづくり

経営視点から地域連携を強化するには、属人的な活動を仕組みに変換することが不可欠です。

  • KPI設計と可視化
     「紹介件数」「訪問回数」だけでなく、「紹介元別シェア」「訪問後の紹介発生率」といった質的な指標を導入し、定例会議で共有する。

  • CRM(顧客関係管理)の活用
     訪問履歴や面談内容を記録・分析できる仕組みを整え、担当者が変わっても情報が引き継がれる体制をつくる。

  • 現場スタッフの巻き込み
     看護師が地域の勉強会に参加する、リハビリスタッフが地域住民に健康指導を行うなど、職員全員が地域との接点を持つ仕組みを設ける。これにより「紹介は営業担当の仕事」という意識を払拭できる。

  • 経営層のメッセージ発信
     院長・施設長が地域の会合や広報に積極的に登場することで、組織全体の姿勢を示し、信頼性を高める。

接点の総和が組織の信頼を形づくる

地域連携は、担当者の営業スキルだけに依存するものではなく、組織全体の文化として根づかせる必要があります。接点が多層的に存在することで、紹介や利用につながる基盤が安定し、長期的なブランド価値も高まります。

当社は、医療・介護事業者向けに、

  • 地域連携のKPI設計・CRM導入支援

  • 職員全体を巻き込む仕組み化の設計

  • 経営層の戦略的な発信サポート

を行っています。机上の理論ではなく、実際に地域で成果を出すための伴走支援が私たちの強みです。
「担当者任せの営業から脱却したい」と考えるときこそ、経営視点での接点づくりを一緒に始めてみませんか。

2025.10.15