「経験年数が上の職員の給与が高いのは当然」
「長く勤めてくれた人に報いたい」
──こうした考え方は、これまでの医療・介護現場において自然なものでした。
しかし近年、年功的な処遇制度が現場のモチベーションを下げているという声が増えています。
たとえば、
若手が新たな手法やICTを積極的に導入しても、処遇には反映されない
ベテランがルーチン業務に終始していても、高い給与水準が維持されている
新人や中堅が「評価されても処遇が変わらない」と感じて、離職を考える
こうした状況は、職員のエンゲージメントや組織全体の成長力にブレーキをかけてしまいます。
今、必要なのは「年数」ではなく、**「成果」と「成長プロセス」に着目した処遇設計」**です。
具体的には、次のような視点が求められます。
単なる業務量ではなく、「患者満足」「サービス改善」「新人育成」など役割ベースの成果項目を定義し、それをもとに評価・報酬を設計する。
一人で難しいケースに挑戦した、チームで新しい取り組みを主導した──そうした過程への努力や挑戦も評価に組み込む。
上位職になるほど抽象的になる評価ではなく、各職員の目標や強みに合わせた個別評価(ジョブグレード制など)を活用することで、納得度が高まりやすくなります。
制度は“箱”でしかありません。
本当に重要なのは、それを現場でどのように運用するかという「対話とプロセス」です。
「なぜこの制度にしたのか」
「どうすれば評価されるのか」
「自分の強みはどこにあるのか」
こうした対話の積み重ねが、制度を「納得の仕組み」へと育てていく鍵となります。
また、制度は一度つくって終わりではありません。
定期的に現場の声を吸い上げ、**柔軟に調整・進化させる“育てる制度”**として位置づけましょう。
“経験年数=能力”という前提が崩れた今、処遇制度は単なる給与配分の仕組みではなく、
**「どんな人材を育てたいか」「どんな組織でありたいか」**を明示するメッセージでもあります。
当社では、医療・介護分野に特化した「役割・成果・成長」をベースにした評価制度設計や、
現場に浸透するための面談支援、運用研修、スタッフ巻き込みワークショップ等を提供しています。
制度は、現場の可能性を引き出す“起点”になり得ます。
皆さんの未来に向けた、柔軟で前向きな制度設計をご一緒しませんか?