トピックス

Excel管理会計はどこまで使えるか?

──“十分なライン”と“限界点”を見誤らないために

「管理会計はExcelでいいのか?」

医療・介護の経営現場で、よくいただく質問です。

結論から言えば、Excelで“十分なケース”は確実に存在します。

しかし同時に、Excelのままでは破綻する構造も、はっきりとあります。

問題は、ツールではありません。
どこまでをExcelで担い、どこから構造を変えるべきか。
その“線引き”が曖昧なまま運用されていることです。

Excelで「十分」なケース

Excelが機能するのは、次の条件が揃っているときです。

① 部門構造がシンプル

部門数が限定的で、配賦ロジックも明確な状態。

複雑な二次配賦や横断的な事業構造がなければ、Excelは十分に実用的です。

② 月次更新が基本

月1回の会議で確認するための数字であれば、手動更新でも大きな問題にはなりません。

リアルタイム性を求めない限り、Excelは“安定した管理ツール”になります。

③ 設計思想が整理されている

ここが最も重要です。

・レセプトと経費をどう紐づけるか
・どこまでを直接経費とするか
・間接費の配賦基準は何か

こうした構造が整理されていれば、Excelは十分に管理会計を支えます。

▶ 関連コラム:Excelで始める管理会計:レセプトと経費をどう紐づけるか

Excelで破綻し始める瞬間

一方で、次のような兆候が出たら注意が必要です。

①部門が10以上

配賦ロジックが増えるほど、
数式はブラックボックス化します。

②更新頻度が上がった

週次・日次で動向を追い始めると、コピペ運用、集計ミス、属人化が一気に進みます。

Excelは“構造が安定している前提”で強いツールです。変動性が高まると負荷が急増します。

③担当者が1人になった

これが最大の分岐点です。

Excelの問題ではありません。理解者が1人しかいないことが問題です。

この状態では、管理会計は“仕組み”ではなく“個人スキル”になります。

▶ 関連コラム:部門別採算が“形だけ”で終わる病院の共通点

分岐点は「部門数×更新頻度×属人化」

Excelが限界に近づくかどうかは、

・部門数
・更新頻度
・理解者の数

この3つの掛け算で決まります。

2つ以上が負荷の高い状態になったとき、Excelは管理会計を支える土台ではなく、改善を止めるボトルネックになります。

重要なのは、いま自院の構造はどの段階にあるか。

いきなり高機能システムを導入しても、思想が整理されていなければ意味はありません。

逆に、Excelでも構造が整理されていれば、十分に機能します。

違いは、ツールではなく“構造理解”です。

おすすめするのは、段階的な設計です。

  1. まずはExcelで構造を整理する

  2. 数字が会議で使われ始める

  3. 更新負荷が高まったタイミングで自動化へ移行する

この順番を踏むことで、“道具に振り回されない管理会計”が実現します。

Excel管理会計は「通過点」であって「ゴール」ではない

Excelは、悪者ではありません。むしろ、多くの現場にとって最適な第一歩です。

ただし、成長した組織には、次の設計が必要になります。

管理会計の本質は、数字を作ることではなく、数字を使って構造を動かすことだからです。

  • 今のExcelは本当に十分か?

  • 属人化していないか?

  • 次の一手に進むタイミングか?

構造整理から一緒に考えます。

▶ Excel管理会計の設計・見直し相談はこちら

初回オンライン相談は無料です。

2026.2.19